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第109回日本外科学会定期学術集会 開催される


株式会社 クリピュア 代表取締役 吉田 繁光(『統合医療でがんに克つ』発行人)

 『統合医療でがんに克つ』は、がんが撲滅され廃刊になる日が来ることを目指して発行しております。企業人としては矛盾いたしますが、一人の人間として、その日が一日も早く来る事を願ってやみません。


そのがん撲滅に向け、多くの研究に携わる医師が集まる我が国最大級の学会、「第109回日本外科学会定期学術集会」(会頭 田中雅夫先生、九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科 教授)が、4月2日より福岡にて3日間に渡り開催されました。

テーマは“Redemption of Surgery”で、Redemptionには、復活、再生、救い、癒しなど広い意味があるそうです。Surgeryは外科ですから、外科学と外科医の「復活」、「再生」を意味します。また、外科による人々の「救い」や「癒し」もその意味に含まれているとのことです。これにより外科医の減少が社会に認識され、このまま手術待機に要する期間がますます長くなることがないように、具体策を講じて外科を「復活」させたいとの思いが込められています。

集まった人数は1万人以上で、会場も福岡国際会議場・マリンメッセ福岡・福岡サンパレスと、隣接した3施設も使用し、その3施設に合計16会場が設けられました。発表された演題は、選ばれた中から2475題もありまして、それを朝の8時から夕方の6時までの間に次々と行い、昼食時間も“ランチョンセミナー“として、お弁当を食べながら発表を聞くというものでした。演題は、やはり癌(がん)に関するものが、半数以上であったように思われます。

発表には、シンポジウムやワークショップなどの形式がありましたが、ビデオを使ってのものも多くございました。

また、外国からも田中会頭と親交がおありになるInternational Surgical Society会長、Mayo ClinicのSarr教授、米国肝胆膵外科学会長のSchirmer教授、ドイツからMuenster大学のSenninger教授など、各国より多くの著名なドクターが参加されました。

本誌でも、昨年の9月号に東京医科大学の橘政昭教授にご寄稿頂き、ロボットによる最新手術が好成績をあげていることを掲載いたし、読者から期待を寄せられましたが、発表では、手術技術、腹腔鏡・内視鏡手術の精度の向上による、術後の回復日数の短縮やQOL(生活の質)の向上、最新鋭の放射線治療、新たな抗がん剤や期待される分子標的薬など、希望の持てるものが多くございました。

さらに、樹状細胞療法、βグルガンなどによる免疫療法やがんウイルス、さらに緩和医療に関する発表もありました。

福岡にこれだけの先生方がお集まりになり、ご熱心に医療の充実・進歩、特にがん撲滅の向け日頃の研究の成果を披露され、それに対しての会場からの真剣な質問、討論を拝聴し、私は必ずがんが撲滅される日が来る事を確信いたしました。それも、そう遠くないうちに来るものと思いました。事実、10年前より確実に5年生存率は向上しております。

WBCで日本が世界を制したように、すべての研究者の英知を結集しチームプレーで成果を上げていく機運も高まっております。そのためには、国が資金面での支援を行う事や、新薬審査の迅速化も不可欠で、安心して研究に没頭できる更なる環境をつくる必要があるしょう。

来年は、4月8日から10日まで名古屋国際会議場にて第110回となる日本外科学会定期学術集会が、名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科教授の中尾昭公先生が会頭となって開催される予定です。来年に向け、研究者の先生方のご努力に心から敬意を表すとともに、がん撲滅に向けて有意義な発表が多く行われるであろうと、大きな期待を抱いております。