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『統合医療でがんに克つ』の発刊趣旨と編集方針


2人に1人が〝がん〟になる時代――がん難民を救うために


 がん治療においては、外科的療法・放射線療法・化学療法といった3大療法による標準治療が柱となりますが、
近年にあっては、従来の化学療法や放射線療法による治療の限界が指摘され、分子標的薬による治療、モノクローナル抗体治療などが注目を集めています。
 しかしながら一方においては、がん組織のみを標的にしたこれら治療法だけでは再発の可能性が残り、
治療に伴う副作用で患者さんのQOL(生活の質)が低下し、
近代的な設備の整った施設ですら「もう治療法はない」と見放されてしまうケースが少なくありません。

  ヨーロッパではこれらの問題を克服すべく、1989 年より学会レベルで「統合医療」による取り組みが開始されました。
がんが生じにくい体内環境をつくり、患者さんの〝生活の質〟を保つことを主眼に置いて、
西洋医学的3大療法にプラスして相補・補完医療なども取り入れた治療への取り組みが本格化したわけです。

 “がん難民をつくらないために”の趣旨に基づき、西洋医学において「もう治療法はない」と告知された患者さんにも、まだ「治療の選択肢がある」旨情報を提供し希望の光を持ち続けていただく――。
統合医療の持つ大きな使命はここにあります。
この使命をより早く実現するために『統合医療でがんに克つ』は、がんの患者さんだけでなく、
がん医療に従事する医師あるいは関係者、一般市民へ向けて広く情報を提供すべく、2008 年5 月に創刊いたしました。

  標準治療とは、現段階で最も治療効果が高く、多くの患者さんに有効とされている治療法のことを指します。
統合医療はその標準治療を補完する医療で、患者さんにより良い医療を提供することを目指します。
本誌では標準治療についての情報も随時掲載し、また、治療法だけでなく医療問題なども取り上げつつ、「読者参加型」の雑誌づくりを目指します。
編集内容をより充実させ本誌を息の長い情報誌として育てていくために、読者の方々のご意見・ご要望などをお寄せいただけましたら幸いです。
 今後ともご叱正、ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

統合医療学術協議会 編集室